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企業プロボノを主催するNPO法人サービスグラントに「プロボノリーグ」についてインタビューをしてきました

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こんにちは。LTSコンサルタントの池田です。LTSでは社会貢献活動の一環として、2019年度より認定NPO法人サービスグラントが提供するプログラムを利用し、NPOなどの公益団体の課題解決支援を行うプロボノ活動の取り組みを開始しました。サービスグラントが2016年度より企業向けに開催しているプロボノ活動のひとつ「プロボノリーグ」に、私を含め3名の社員が参加しました。そこで今回はプロボノリーグついてプログラム開催のきっかけやプログラムのねらいなどを、代表理事の嵯峨生馬様、プログラム企画担当の中島裕子様(以下敬称略)にお伺いした内容をご紹介します。


(左から、サービスグラント中島様、LTS上田、LTS池田、サービスグラント嵯峨様)

国内プロボノ活動のパイオニア「サービスグラント」とは

サービスグラントは2005年に日本における「プロボノ」のフロンティアとして活動を開始し、2009年にNPO法人化しました。「社会参加先進国へ」をビジョンに掲げ、社会的活動を行うソーシャルセクターの課題に対し、職業上の知識や経験を持つ多彩な人々による「プロボノ」での支援をコーディネートしています。これまでに3,800人以上のプロボノワーカーが参加し、800を超えるNPOや地域団体等への支援を実施しています。

プロボノリーグとは

今回LTSが参加したプロボノリーグは、サービスグラントが提供するプロボノ活動のひとつで、異業種・異分野のメンバーからなるチームを組成し、NPOの課題解決にチャレンジする実践型の人材開発プログラムです。
プロボノリーグの詳細: https://www.servicegrant.or.jp/about/corporate/league-hrdev/

人材開発を目的とした社会貢活動の研修プログラム

社会貢献活動をしながら人材開発ができる「プロボノリーグ」

池田:プロボノリーグについて、開催の背景や目的を改めて教えていただけますか。

嵯峨:まずプロボノ活動というのは、企業の視点から見ると社会貢献・CSR活動の一環として捉えられることが多く、実際に初期の段階で一緒に活動を行った企業も、社会貢献活動・CSR活動として取り組まれていました。しかし、実際の活動を通して、プロボノ活動は参加する企業の人材開発という側面の副次的な効果が大きい、という感覚をずっと持っていました。

池田:副次的な効果とは具体的にどういったものでしょうか。

嵯峨:プロボノ活動によって社会に貢献するということもさることながら、実際に活動に参加された方からは「視野が広がった」「仕事で活かせるような様々な経験が得られた」といった声を幾度も聞くようになり、参加者の気付きや経験といった観点で得るものが大きいということが分かりました。
また海外のプロボノ活動をしている団体では、人事セクションと一緒に人材開発を目的に活動をしているところがあるという話を聞きました。日本でも越境学習や他流試合みたいな言葉がここ数年で聞かれるようになり、社内に閉じるのではなく社外に目を向けさせるような動きが出てきていました。

池田:なるほど。一般的なプロボノ活動の主目的は社会貢献活動ということですが、プロボノリーグは人材開発を主目的としたプログラムということでしょうか。

嵯峨:そうですね。ある時、活動を共にした企業の人事の方から、オペレーションについての研修は社内でやる必要があるが、課題解決などのテーマは、一社単独で研修をやる時代は終わったんじゃないか、むしろいろんな会社と相乗り型でやった方がずっと効果が高いんじゃないか、という相談をいただきました。研修は、参加する会社の多様性が増えれば増えるほど活性化し、普段仕事で一緒にならない異業種の人たちと活動を共にすることで、色々な気付きが得られると思います。そこで「社会課題」と「他社との相乗り」の掛け合わせで新しい研修プログラムが考えられないか、というところからプロボノリーグは始まりました。

学びや気づきをすぐに活用できるプログラム設計

池田:今回の私たちが参加させていただいたプロボノリーグは若手向けでしたが、階層を分けて開催されているのでしょうか。

嵯峨:プロボノリーグは若手向けに提供しているプログラムです。リーダーシップや課題解決といった研修プログラムは課長職くらいになると充実してくると思いますが、若手世代に対する社外との交流タイプの研修プログラムというのはあまり多くはないと思います。MBAの大学院に行くなど莫大なお金をかけなくても、身近な場所にあるフィールドで生の経験が得られるという意味で、プロボノ活動は敷居が低いんじゃないかと思っています。そういうプログラムとして、お勧めしたいという気持ちで提供しています。

池田:若手向けの研修プログラムとして、何かポイントとしているところはありますか。

嵯峨:実はプロボノリーグは、2019年度にビジネススキルや仕事に向き合うスタンスを数値化する評価指標をプログラムに加え、名前を変更したばかりなんです。社会課題解決と他社とのコラボレーションを通じてイノベーションマインドを醸成するだけではなく、参加された方の本業での成長に活用いただける情報を可視化することで人材開発要素を強めました。2016年度の開始当初から回を重ねるごとに洗練され、現在の形式で提供しています。

中島:プログラム終了後、評価指標の測定結果と共に、人事担当の方にフィードバックをお渡ししています。どのように使うかは各企業にお任せしていますが、プロボノリーグでの経験を「参加してよかった」で終わらせず、参加された方のその後の成長に繋げていただくために、人事や上司の方とコミュニケーションの材料となるよう、ご提供しています。

嵯峨:実は、このプログラムで重要なのはプロボノリーグに参加した後なんです。プロボノリーグに参加された方は、この活動を通してなんらかの気づきを得る可能性が高いです。参加後に上司の方と何を学んだかシェアし、学んできたことを組織の中で活かせるように認めてあげることがとても大切です。そのために、評価指標をプログラムに加えました。

池田:私たちもプロボノリーグ参加後にいただいたフィードバックをもとに上長との面談や社内での報告会も開催しました。

普段の仕事では得られない学びの場

プロボノリーグを通して得られる経験・学び

池田:LTSのような企業にとって、プロボノリーグに参加することはどのようなメリットがあると考えられますか。

嵯峨:コンサルティングを本業としている方に関しては、普段の業務をそのまま活かすことができると思いますが、本業はBtoBや相手方の企業が大きいと思いますので、その先の最終消費者が見えづらく、手触り感がないというのが一つありますよね。また、一般的に、大きな企業の業務は、一つひとつの仕事がパーツになっているので、全体像を見ることも難しいと思います。プロボノリーグでは、少人数である程度自分の意見やアイデアが具体化されるコンパクトなプロジェクト環境ですので、プロジェクト全体を見渡すことができると思います。そういうワークを経験する場として、プロボノリーグは活用できると思います。
またプログラムの中に、ステークホルダーヒアリングが組み込まれています。支援先のNPOやその関係者に直接ヒアリングをすることで、誰のためにやるのか、どういう人に向けた活動なのかというのがダイレクトに伝わってきます。そうした経験を通じて、仕事の価値や意味などに対する理解が深まると思います。普段大企業を相手にしているなら、プロボノリーグのような場で、小さい団体の支援や、本業とは違うテーマ・分野に飛び込んでみるなど、本業ではチャレンジできないような活動をしてみるのが良いのかもしれませんね。

中島:プロボノ活動は、この業種の方におすすめというのは特になく、チームに多様性がある事がいいと思っています。さまざまな業種の方が参加されることで、多角的な視点で支援ができますし、化学反応みたいなものが生まれるので、お互い刺激し合えると思いますね。皆さん、ボランタリーで参加されているので、仕事とは異なる特殊な環境で、いつもと違う業種や立場の方たちとのコミュニケーションも大切にしながら活動できると、より学びがあると思います。

コンサルタントのスキルは大きな強み

池田:プロボノリーグに参加して、いろいろな気づきや学びがありましたが、コンサルタントならではのものというのはあるのでしょうか。

嵯峨:チームにコンサルタントの方が自分1人で他のメンバーが事業会社の方だったりすると、コンサルタントが持つスキルについての自覚というのはすごく高まるんじゃないかと思います。やはり事業会社の方よりも、課題整理の枠組みの活用などといった点はまさに本業ですから慣れてらっしゃるわけですよね。さらに、仕事の手さばきもいいと思うので、コンサルタントとして磨いてきているスキルなんだなということを自覚することにも繋がると思いますね。

編集後記

今回プロボノリーグに参加させていただき、また嵯峨様、中島様にお話しをお伺いし、プロボノリーグは普段の業務で培ったスキルを活かした社会貢献活動の経験だけでなく、そこから得る学びや経験を重視したプログラムだということが分かりました。

プロボノリーグは、さまざまな業種・業界の方、参加者全員がフラットな立場で参加するため、役割も特に決められていません。実際に私もリーグに参加してみて営業職の方のガッツある推進力やスピード感、SE職の方の細かなデータ分析等、多様性のあるチームメンバーが互いの強みを発揮し合い、コラボレーションすることで、革新的なアイデア・提案が生まれる面白さ、普段の業務とは違った刺激を感じることが出来ました。

また、プロボノリーグは社会貢献活動を通して人材開発をすることを目的としているため、活動をして終わりではなく、その後の社内でのフィードバックがすごく重要になってきます。社外のメンバーと社会貢献活動をすることで得られる貴重な経験をいかに本業に活かすか、会社に還元するかといった観点も含め、今後は、会社側のサポート体制を検討する必要性も実感しました。

今回このような機会を得てプロボノリーグに参加し、外部の環境で活動することで、自身の強みや弱みを再認識することができたと同時に、社会課題の解決にコンサルタントとして寄与することの意義を感じることもできました。今後は、プロボノリーグのみならず、LTSとして注力したいテーマに沿った社会貢献活動も検討していきたいと思います。

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