LTSコラム

システム開発は接客業! 第1回:顧客満足はサービスの成果よりプロセスの良さで決まる

■患者の満足は医学知識の豊富さより対話力で決まる

『満足度の高い病院は、痛みへのケアと患者とのコミュニケーションをしっかり行っている』

これは全米の病院の患者体験データから得られた結果です【1】。この調査では、患者の総合満足度の高さと最も関係の深い項目は「疼痛(とうつう)管理(痛みのケア)」「退院時の説明」「医師とのコミュニケーション」の3つでした。医師というと医療の専門知識や技術力が真っ先に問われるイメージがありますが、大切なのは病気や怪我を治す力以上に、患者の苦痛を理解して和らげることと、患者としっかりコミュニケーションをとることだったのです。

病院に対する満足度は所謂名医がいることよりも、体の痛みを理解して寄り添うように会話してくれる医師がいることの方が重要とは、ちょっと意外ではないですか?でも言われてみれば、淡々と診断を進める医師よりもこちらが安心できる説明をしてくれる医師の方に頼りたくなる気がします。

 

■サービス品質は成果品質×プロセス品質で決まる

お客様はサービスを受けたとき、どんなポイントを評価しているのでしょうか。例えばレストランの場合、お客様は「美味しい食事」を求めていますが、「美味しい食事」だけを提供されても満足してくれません。店員の接客や店内の清潔さ等「食事以外の部分」もチェックしています。私たちはそれぞれを「成果品質」と「プロセス品質」と呼びます。冒頭の病院の高い総合満足度を決めている評価項目は、3つともプロセス品質でした。私たちはサービスを評価する際、自分が思っている以上にプロセス品質を重視しているのです。
今度はITサービスで考えてみましょう。例えばシステム開発における成果品質は品質、納期、予算(QCD)ですよね。では、ITサービスのプロセス品質とはどんなものでしょうか。以下はシステム開発プロジェクトが終わった後実際に聞いたお客様の言葉です。

「今回のベンダーは言われたことしかやってくれないし、こちらがシステム要件のとりまとめで大変な時期も積極的に手伝ってくれなかった。こちらから聞かないと詳しい進捗もわからないし、最後までシステムが無事に動くか気が気でなかった」
「システムの仕様変更が起こるたびに『納期は延長することになる』とか『見積りのやり直しが必要になる』と脅されて、気分の悪い思いをした」

どちらもプロジェクト過程でのベンダー側の姿勢・振舞い(=プロセス品質)に対する不満です。例えQCD(=成果品質)が担保されていてもプロセス品質に不満がある場合、本当の顧客満足は得られないのです。ということは、再度発注して頂ける確率はかなり低くなってしまうということでもあります。しかもB to Bサービスの場合、ステークホルダーによって評価するプロセス品質が違います。システム開発プロジェクトであれば、決裁権限を持つ経営者から、共にプロジェクトを運営する担当者、できあがったシステムを使うユーザーまで、そのすべてがお客様であり、それぞれにプロセス品質でも満足して頂く必要があるのです。

「君の話はよく分かる。でもどうやってプロセス品質で満足してもらえば良いの?現場SEのコミュニケーション能力を向上させようと思っても、そう簡単にはいかないよ。そもそも本人の資質もあるし。」

このような言葉を私は何度か頂いたことがあります。確かにIT現場で管理者をやっている方々は過去の経験からそのように思われるのかもしれません。でも、お客様にプロセス品質で満足して頂ける方法があったら、是非試してみたいと思いませんか?

■サービス品質向上に役立つサービスサイエンス

サービスの品質を考えるときに欠かせないのが「サービスサイエンス」です。サービスを科学的に分析することで高い品質のサービスを効率よく実現する仕組みを作ることがサービスサイエンスの役割です。これまでITサービスの分野ではあまり注目されていなかったプロセス品質をいかに向上させるかについてサービスサイエンスの考え方を活用しながら研究した結果を、この度弊社執行役員の山本政樹と諏訪良武氏(ワクコンサルティング株式会社 常務執行役員)が共著で書籍「サービスサイエンスによる顧客共創型ITビジネス」として翔泳社より刊行いたしました。※下記画像をクリック頂くと、Amazonの商品サイトに移動します。

本日から隔週で、この本の内容を少しずつご紹介していきます。まずはサービスサイエンスとは何か?を理解することからスタートです。次回をお楽しみに!

LTSマーケティング担当の青木夏海です。社内外でサービスサイエンスに関するセミナーや研修講師も担当しています。今では実生活でもサービスサイエンスの考え方を念頭におくようになってしまいました(笑) 色々な場面で応用できる考え方なので、是非多くの人に学んで頂けると嬉しいです!

【1】 「米国の患者体験をめぐる構造探索と価値共創支援 〜オープンデータを活用したビッグデータ分析〜」赤坂亮著、サービス学会 第2回国内大会論文、2013年

 

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