LTSコラム

究極のサービスデスクを目指して(1)
2011.5.24

◆はじめに

LTSでは数多くのクライアント企業の現場に入り、システム運用管理業務のサポートをしています。

それぞれの運用現場では、ITIL(Information Technology Infrastructure Library)フレームワークに基づき、サービスデスクを立ち上げ、インシデント管理、サービスレベル管理をはじめとしたプロセスを回すことにより、 ITサービスマネジメントを実現し、継続的な品質向上とコストの適正化にチャレンジしています。

今回のコラムでは、その中でも「サービスデスク」にフォーカスをあて、究極のサービスデスクとは何かを考えてみたいと思います。

◆思わぬクレーム

先日、弊社の運用現場のひとつでユーザーから1件のクレームが上がりました。 ユーザーが業務で使用している個人用ノートPCの液晶が故障したため、PCの置換を実施したのですが、置換後のPCのデスクトップのアイコンの配列が置換前と違うというクレームでした。

置換サービスの範囲として移行の対象とするのは、メールデータ、デスクトップ、マイドキュメントの3つですが、デスクトップのアイコンの並びについては保証しないということはサービス定義としてユーザーとも共有されていた制限事項でした。

その制限をユーザーにお伝えしたところ、ユーザーはさらに激怒してしまったのです。

サービスデスクとしては、ルールに則った対応をとりましたし、SLA違反をおかしている訳でもありませんが、果たしてこの対応が適切な対応であり、ユーザーの満足を得られるサービス提供であったと言えるでしょうか?この一件はユーザーが悪いのでしょうか?

ユーザーとしては不可抗力でPCの置換えが発生し業務に支障が出た上に、サービスデスクとのやりとりで非常に嫌な思いをした訳であり、最大の被害者です。

「サービスデスク」としては、理由はどうであれ、コンタクトしたユーザーが不愉快な思いをするということは、絶対に回避しなければなりません。

◆サービスデスクのサービスとしての特異性

ITILで言うようにシステム運用管理業務を「システムの単なるお守り」ではなく、「ITサービスの提供」と捉えたとき、最前線でユーザーとのインタフェー スをもつサービスデスクの目指すべきところは、他の一般的なサービス業(飲食業、ホテルなど)と同じように、「実際にサービスを受けるユーザーに、より高い 満足感を得ていただけるホスピタリティのあるサービスの提供」であるはずです。

しかしながら、実際のところは、「ホスピタリティのあるサービスの提供」という観点からユーザー満足度の向上に本気で取り組めている現場はかなり少ないのではないでしょうか?

前述の弊社のクレームの対応例も、サービス提供の質としては低いレベルであると言わざるを得ません。

その理由は、サービスデスクの「サービスとしての特異性」にあると考えます。

尚、ここでいう「ユーザー」とは「ITILで定義されているユーザー」のことで「実際にITを利用する人」という意味です。ITILでは「ユーザー」と「顧客」を以下のように明確に区別して定義しています。

サービスデスクのサービスとしての最も大きな特異性は、サービスの要求者かつ評価者が、「ユーザー」(サービスを受ける一個人)だけではなく、「顧客」と「ユーザー」の両方であるということです。しかもその両者の利害は必ずしも一致しません。

一般的にサービスデスクの品質は以下の3点で測ることができると言えるでしょう。

ITサービスを受けてビジネスを遂行する責任者である「顧客」は、①→③の順に強い関心があり、実際にITサービスを利用する人である「ユーザー」の関心はその逆です。

実際の運用現場では、「顧客」の関心度の優先順位に合わせて、「①コスト(費用対効果)」と「②SLAの遵守度合い」への対応を優先させており、なかなか 「③ユーザー満足度」まで手が回らないというのが現状ではないでしょうか。そして「①コスト(費用対効果)」の対応については「顧客」判断で、ユーザーの利便 性が犠牲になることが多いのも現実です。

例)セットアップ時、標準外アプリケーションをサービスデスクでインストールするとコストが かかるので、標準外アプリケーションのインストールはユーザー側で実施することにしよう。