LTSコラム

プレゼンテーション力を高める
2012.3.1

こんにちは。第一コンサルティング部長改め業務分析事業部長の山本です(1月から組織名が変わりました)。

プロジェクトマネージャーの仕事ではプレゼンテーション力を要求されることが多々あります。例えば会議での発表(例:役員プレゼン)、セミナーでの講演、学会での発表などです。こういった場では他の講演者の発表を聞くことも多いのですが、残念ながら日本人のプレゼンテーション能力は低いのが現状です。

これはプロジェクトマネージャーに限らず、経営者も政治家も同じです。英語学習の教材でも使われるスティーブ・ジョブズやアメリカ歴代大統領の演説に比べると(言語の違いを考慮しても)かなり魅力度に劣ります。そもそも日本人は人前で話すこと自体に後ろ向きですね。多くの人を前にした演説で原稿を棒読みする経営者がこれだけいる国は日本くらいではないでしょうか。

一方で自らのプレゼンテーション能力を過信して、レベルの高くないプレゼンテーションで「十分」だと思っている方も見受けられます。一定レベル以上の職位の方やコンサルタントにはこういった方がかなりの数、見受けられます。こういう方には以下のような症状が見られるように思います。
– 実は単に資料を読み上げているだけ
– プレゼン内容を理解していたはずだが、声に出すときちんと説明できない
– 聴衆の反応を見ず、聴衆が退屈していることにおかまいなし
– 「延々と続く雑談」「終わらない自慢話」「長い結婚式の挨拶」
– 話はおもしろいが心には残らない

プレゼンテーションを成功させるコツはたくさんありますが、最も重要なのは訓練と熱意だと思っています。

【準備・訓練をすること】

プレゼンテーション前に準備をしていない方が多いことに驚きます。結果的に資料読み上げになってしまったり、自分が作ったはずの資料が上手く説明できていなかったりします。そこまでひどくないにしてもつっかえながら話すプレゼンテーションは事前にリハをしなかったんだな、ということがすぐに分かってしまいます。

私はある程度のプレゼンの場合はリハを最低3回程度します。リハには部下や同僚などできる限り誰かに同席してもらうようにしています。もちろん大前提として聴衆を意識したプレゼン構成・資料構成になっていることは必須です。

一回目のリハはリハというより確認です。講演資料を流しながら「ここでこういう逸話を挿入する」「ここで聴衆に話を振る」など、全体の流れを確認します。当然、講演資料を作る際は話す内容を思い浮かべながら資料を作りますが、いざ資料が出来上がってみると「これ、冗長だよね」とか「話の流れが不自然」といったポイントがたくさんでてきます。

二回目のリハは一回目のリハを元に修正した資料を使い、本番同様のリハをします。聴衆がいることを想定して冒頭の挨拶なども本番と同じように話します。この時、自分で分かってて作ったはずの資料が、言葉で説明しようとすると実はスムーズに説明できず戸惑うことが多々あります。脳内リハと実際に話してみるリハは全く違うのです。

三回目は二回目で上手く説明できなかった部分を修正して臨みます。講演の際にはスクリプトを文字に書き起こすこともありますが、話す際にスクリプトを見ることはありません。すべて覚えます。でないと目線が下がって聴衆に目が向かなくなります。また人はついつい同じ言葉を繰り返して説明が冗長になってしまうものですが、そういった箇所は特に気をつけてスムーズに説明が流れるようにします。

ここまでのリハは必須です。大抵の場合は三回のリハでは足りずさらに何度かリハをします。上手く流れに乗れない箇所は何度もやり直しますし、リハを録音・録画して見直したりもします。外部での講演は「社内勉強会」とか「事前共有会」と称して、社員有志を集めて事前リハを行うこともあります。

【「伝えたい」という熱意を持つこと】

プレゼンで最も重要なことは「伝えたい」という熱意だと思っています。ただ「自分が話して楽しいことをしゃべること」は熱意ではありません。熱意というのは聴衆に対して向くもので、自分が気持ちよくなってしまっているのは自己満足です。良いプレゼンとは聴いた人を自発的な行動に促すものです。そのプレゼンを聴いた結果、今すぐにでも自分も何かをしたい、何か自分なりに考えてみたいと思わせるようなものです。

一部で「聴衆が笑ってくれる」ことが良いプレゼンテーションだと思っている方がいますが、これも本質ではありません。こういう方は、とにかくウケを狙いたがります。もちろんつまらないプレゼンよりはそういったプレゼンの方が良いのも確かです。でも「おもしろい話」を聴衆の興味を惹き付けるためのテクニックとして活用するのは是非行うべきですが、話をおもしろくすることが目的になりプレゼンの本来のメッセージが薄くなってしまっては本末転倒です。

これは私の家族が友人の結婚式に出た際に言っていたことです。
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コンサルティング会社の友人なので同僚もコンサルが多く、同僚達の挨拶は上手かった。ただとにかく相手を笑わせようとか面白い話にしようという挨拶で心には残らなかった。友人代表の挨拶で涙ぐみつっかえながらも本当に祝福の気持ちを表現している挨拶の方が心に強く残った。
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私の前職の先輩に英語が苦手で外国人との打ち合わせでは通訳代わりに英語のできる部下を常に帯同させている方がいました。ところがこの方、打ち合わせの中で相手が自分の意図を分かってくれない場合や「怒りゲージ」が頂点に達した場合はなぜか英語で話し出します。それもすさまじい勢いで。無茶苦茶な文法だったりしますがなぜか伝わるのです、これが。熱意は時に言語の壁すら超えます。

世のプレゼンのノウハウ集は姿勢や目線、話し方などテクニックに重点を置いたものが多いように感じます。ただつたなくても熱意を持ったメッセージはテクニックを駆使しなくても、ある程度伝わるものなのです(これらが重要でないというこではありませんが)。

正直、私もまだまだ訓練が足りません。後で振り返って「あれは”自分が気持ち良くなってしまっている”プレゼンだったな」と反省することもしばしばあります。プロジェクトマネージャーの皆さん、一緒にがんばりましょう。