LTSコラム

PMに必要とされるスキル2.0 ~PMに求められるヒューマンスキルとは~中編 – LTS流「行動特性」「コミュニケーション」の二つのスキル

こんにちは、LTS執行役員の山本政樹です。「PMに必要とされるスキル2.0 ~PMに求められるヒューマンスキルとは~」の続きです。前回、「二回に分けて」と書きましたが、書ききれなくなってしまいましたので、三回に分けることにしました。二回目(中編)の今回はLTS流の「Behavioural Characteristics(行動特性)」「Communication Skills(コミュニケーションスキル)」の二つのスキルについて解説します。

今回のモデルも、あくまでもLTSがBABOKを独自にテーラリング(自社向けの改編)したもので、必ずしもBABOKの表記そのものではありませんので気を付けてください。

◆全ての関係者に対して正しい行いをする「行動特性」◆

ではLTS流「Behavioural Characteristics(行動特性)」の解説します。以下がLTSの「行動特性」の全体像です。

図1

名前の通り、仕事や周囲の人に対する姿勢、価値観を中心に構成されています。これら7つのスキルはそれぞれは全く異なる特性に見えます。しかし、実はここに登場する特性は全て「正しい行いをする」という観点では同じです。異なるのは一体だれに対して正しく接するのかという点です。それぞれを軽く解説してみましょう。

図5

まず「倫理」ですが、これが対象としている先は社会です。社会に対する正しい行いですから、社会規範/ルールに則り、不道徳な行為を拒絶することができるということを指しています。

次に「ステークホルダー志向」です。ここで言う「ステークホルダー」とは、顧客だけでなく、パートナーや株主など広い範囲の社外の利害関係者を含んでいます。ですから、ここでの「正しい行い」とはすべてのステークホルダーを公正に扱い、またステークホルダーの視点に立ち、ステークホルダーの最大の利益を念頭において行動することで、結果として信頼を得るということを指しています。

「倫理」と「ステークホルダー志向」はどちらかといえば社外に向けた姿勢ですが、ここから先は社内に向けた姿勢になります。その代表となる「組織貢献の姿勢」とは、組織(会社、チーム、周囲の人)の目標と自らの目標(利害)との間で適切なバランスをとり、関係する人々全ての全体最適を意識した姿勢を持って行動しているということです。これは単純に周囲に貢献だけすれば良いということではなく、その貢献が自らのキャリアや志向といったものと結びついていて、組織と個人がWin-Winになっていることが大切です。

「社会」「ステークホルダー」「自社(会社)」ときて、最後の観点は「自分自身」となりますが、これは三つの観点に分かれます。まず「成長志向」ですが、これは常に高い好奇心、探究心とキャリア意識を持ち、平時からスキルを伸ばすための行動を怠らずに挑戦し続ける姿勢があるということを指しています。「自己管理」とは、自己の健康管理と時間管理、精神管理を行い、常にベストの状態を保ちつつワークマネジメントを行うことです。最後に「適応力」とは社会や環境の変化、市場の曖昧さ、お客様毎に違う特性を受け入れ、前向きさを保ちつつ、自らを状況に対して適応させる、かつ変化や新しいことを学ぶことを楽しむ姿勢を持つということを指しています。

このように「正しい行い」を「社会」「ステークホルダー」「組織(自社)」「自分自身」と異なる視点で表現したものが「行動特性」の全容です。正直に言えば観点が重複している項目もあります。例えば「前向きさを保つ」という観点は「自己管理」と「適応力」のそれぞれの項目にありますし、組織と自らの関係をWin-Winに保つという観点は「組織貢献の姿勢」と「成長志向」のそれぞれに出てきます。もともと曖昧な事象を分解しているので、このような概念の重なりを完全に除くことは難しいのです。ただ、除いた結果、必要な観点が抜けてしまったり、各項目の求めていることが分かりにくくなってしまうくらいなら重複している方が良いと割り切っています。

なお、LTS「行動特性」のBABOK「Behavioural Characteristics(行動特性)」からの変更点は
1. 「Trustworthiness(信頼感)」⇒「ステークホルダー志向」というように、言葉を社員にとって分かりやすいものに変えていること(他にも幾つかの言葉を変えています)
2. BABOKには存在していない「成長志向」という項目を加えていること
の二つです。BABOKはBA(ビジネスアナリスト)としての行動特性を定義しているもので、企業の構成員として必要な観点はカバーしていないものがあります。このため「成長志向」を加えたり、他の項目にも組織と個人の成長を促進する観点を加えています。

◆話す/聞く/書くだけではない「情報伝達のスキル」◆

次にLTS流「Communication Skills(コミュニケーションスキル)」です。LTSでは少し対象を狭めて「情報伝達のスキル」と呼んでいます。「コミュニケーション」と言ってしまうと、この次に紹介する「人間関係のスキル」と重複してしまうと感じる社員もいたためです。以下がLTSの「情報伝達のスキル」の全体像です。

図3

こちらも全部で7つのスキルが登場します。解説すると以下のようになります。

図4

「文章力」「図解力」「話す力」「聞く力」の四つについては、分かりやすいのであまり説明はいらないのではないかと思います。ただ、「話す力」の中から、「プレゼンテーション」をあえて抜き出して独立したスキルとしています(元のBABOKではこのような項目はありません)。プレゼンテーションの訓練が日常的な米国と違い、日本ではプレゼンテーションの場がありません。普段、少数の打ち合わせでは上手く話せる人も、大人数の前では上手く話せなくて資料の読み上げになってしまうようなシーンはよく見受けられます。ですので、このようなスキルを定義することで意識的にプレゼンテーションスキルを伸ばすよう促しています。

「情報伝達のスキル」のスキルで特徴的なのは「他者理解力」と「構成力」の二つです。BABOKのバージョン2.0には「Teaching(教える力)」というスキルが定義されていました。これは次回に紹介する「人間関係のスキル」に登場する「ティーチング」スキルとは別のものです。ここでの「教える力」とは相手の程度にあわせた手法を選択し、相手が理解できる対話を組み立てる力です。LTSではこれを「相手の特性を理解し、適切な対話の方法を選ぶ」という意味での「他者理解力」と、「相手に合わせた適切なストーリーを構築する」という意味での「構成力」にさらに分解しています。「他者理解力」とはほぼ共感力を指していると思って頂ければ良いですし、「構成力」はプレゼンのスライドの配置や、文書の目次を考えることが出来るスキルと考えて頂ければ良いのではないかと思います。

「他者理解力」には相手を理解し対話の方法を選ぶだけでなく、もう一つ大切な働きがあります。それは何等かの対話の過程や対話後の相手の理解度を感じ取り、それにしたがって対話手法を修正することです。例えば私たちは対話において、一定の前提を置いて話しはじめます。「この人の経歴からすればこの程度の専門用語は理解しそうだな」というようにです。それに基づいて話した結果、相手が理解していなさそうな反応を示した場合は、より簡単な言葉を使うように変更します。「他者理解力」はこのような対話全体のPDCAサイクルをコントロールする役割を担っているのです。対話が上手い人はこのPDCAのサイクルを高速にまわして、より相手に分かる対話への微修正を繰り返しています。

「他者理解力」のインプットとなったBABOKの「Teaching(教える力)」はバージョン3.0ではなくなってしまいました。この理由は分かりませんが、今でも私は情報伝達のスキルにおける核となるスキルはこの部分だと考えています。ただ話す、聞く、書くということではなく、相手に合わせた対話のプランを策定してしっかりPDCAをまわすことが「情報伝達のスキル」の中心です。

LTS「情報伝達のスキル」のBABOK「Communication Skills(コミュニケーションスキル)」からの変更点は
1. BABOKでは存在していない「プレゼンテーション」という項目を設けていること
2. BABOK2.0に存在していた「Teaching(教える力)」を「他者理解力」「構成力」の二つに分けて採用していること
3. BABOKでは存在している「Non-Verbal Communication」は「話す力」「プレゼンテーション」に内包していること
4. BABOKでは別カテゴリにある「Visual Thinking」を図解力として「情報伝達のスキル」に加えていること
の四つです。

かなり長くなったので、今回のコラムはここまでにしたいと思います。残すは「人間関係のスキル」です。
次回は「人間関係のスキル」と、定義したスキルの活用し方について解説したいと思います。

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