LTSコラム

お客様をタイプ別に分類してみる
2015.5.26

前回のコラムで、システム開発に関わるお客様を「システムオーナー」「プロジェクト推進者」「仕様要求者」「システム利用者」の4つに分類しました。立場によって期待が異なることがわかったものの、結局お客様の期待は個人毎に異なるわけで、その個別的な事前期待に応えないと高い顧客満足は得られません。ですが、100人いたら100通りの期待に応えるにはこちらも限界があります。そこで、個別的な事前期待をある程度のタイプに分類することで効率的にお客様を理解する方法を考えてみました。

◆お客様のセグメンテーションから事前期待を洗い出す◆

3年ほど前、化粧品ブランドのクリニーク渋谷ヒカリエ店でお客様自身が「どのように接客して欲しいか」を意思表示するための3色ブレスレットを導入したことが話題になりました(現在も運用しているかは不明)。

「白=急いでいます」
「ピンク=自由に見ています(声をかけないで)」
「緑=接客してください」

お客様は店頭でブレスレットを選び、腕につけます。美容部員はブレスレットの色で声をかけるか否かを判断でき、お客様の期待通りに接客するという仕組みです。私は店舗で買い物をする際、ただ見たいだけなのに店員に声をかけられてイラっとしたり、逆に色々聞きたいのに店員が声をかけてくれずにモヤモヤすることがあるので、なんて合理的な仕組みだ!と感心しました。

システム開発の現場にブレスレットの仕組みを導入することは難しいですが、それと同じようにお客様の期待を識別して期待通りに対応するために活用したセグメンテーション手法をご紹介します。この後で解説するシステム開発のお客様の事前期待はこの手法に従って分析しています。今回適用した手法は大きく分けて3つの手順を踏みますが、以下にありふれた店舗での接客を例にとって説明します。

1.お客様によってサービスへの期待が分かれる軸を洗い出す

まず、お客様のサービスへの期待が分かれる軸をできるだけたくさん洗い出します。関係者で集まってブレインストーミングをするのがよいのではないでしょうか(このブレストが結構盛り上がります!そういうお客様いるいる~という感じで)。
今回の例で言えば、あなたが普段、店舗でお客様と接する際にお客様ごとにセグメントが変わると感じる要素を列挙します。ひとつの候補としては「お客様の決断の傾向」が挙げられます。お客様には自分で決めるのが苦手で友人や店員にお勧めを提示してもらったほうが買い物をしやすいという方がいます。もちろん、欲しいものは自分で考え自分で決めるという方もいます。当然、それぞれのセグメントによって喜ばれる店員の接客の仕方は変えなければいけません。他にも以下のような軸が考えられます。

  • 商品へのこだわり(最低限の機能を満たせば価格重視←→良いものにはある程度の出費は許容する)
  • 会話の傾向(自分から話す←→話しかけられるのを待つ)
  • 時間的余裕(急いでいる←→急いでいない)
  • 相手に求める説明の傾向(簡潔な説明←→ていねいな説明)
  • 購入回数(1回きり←→何度も繰り返し購入)

皆さんで議論して、できるだけ多くの軸の候補を出してみてください。

 

2.軸を組み合わせてお客様セグメントを洗い出す

次に、洗い出した軸からお客様対応をとくに大きく分けると思える軸をいくつか選びます。選ぶ軸の数はこの後に作るマトリクスの種類によって変わります。お客様を4つのセグメントに分けるシンプルなやり方であれば、2つの軸を選び出します。軸の数が多ければお客様の姿は明確になりますが、分析は難しくなります。いきなりたくさんの軸を選ぶのではなく、まず最も適切と思われる2つの軸でマトリクスを作ってみて、それでもお客様の姿が不明確だと思ったら軸を足していくことをお勧めします。

 

軸

 

ちなみにLTSがこの手法を使ってコンサルティングした経験から言うと、2つの軸では少し曖昧で、3つの軸にするとちょうど良いというパターンが多かったです。

選んだ軸を組み合わせてマトリクスを作ったら、軸が重なるエリアにお客様の事前期待を分析して記入します。ここでは「決断の傾向(自分で決める←→優柔不断)」と「商品へのこだわり(最低限の期待を満たせば価格重視←→良いものにはお金を出す)」の2つの軸を選んで組み合わせました。

 

4象限の例

これによりお客様のセグメントとそれぞれの事前期待が明確になります。この手法を使って分類すると、中にはすべてのエリアにお客様の姿が浮かび上がらないことがあります。たとえば、コスト感×品質に対するこだわりの軸でセグメントをわけると「良いものにはいくらお金出しても良い」×「品質はそこそこでも良い」というエリアができてしまいますが、そのようなお客様はいませんので検討対象外としてください。
 
3.お客様のセグメントへの対応方針と識別方法を検討する

ここまでのステップでお客様の姿が明確になりました。次は各セグメントのお客様に適した対応方針とそのセグメントのお客様が典型的にとる言動や特徴を分析して記入します。これは、目の前のお客様がどのセグメントに属するかを識別するための目印になります。
応対方針と識別方法

これがお客様を事前期待別にセグメンテーションする方法です。この方法はとても簡単で、業種や業界を問わずどのようなお客様にも適用できますから、ぜひ皆さんも活用してみてください。次回以降で、システム開発に関わるお客様4種類を、このセグメンテーション手法でさらに細かく分類してみます!あなたのお客様もきっとどれかに当てはまるはずです。

次のコラムまで待てない!という方は是非「サービスサイエンスによる顧客共創型ITビジネス」をご一読ください。
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