LTSコラム

経営計画策定支援について-②目標数値設定
2013.6.27

ERPソリューション事業部の金澤です。
今回は経営計画として、実運用上重要となる目標数値設定について、お話したいと思います。

どのような企業であれ精度や粒度の差はあるものの、少なからず年間計画や予算を策定します。年間計画や予算の目標数値として策定したものは、管理責任者にとってはコミットメントとなります。つまり、確実に達成しなければならない目標数値になるため保守的になってしまうことが多いのが現状です。
そこで「どのようにすれば各責任者にストレッチのきいた目標値を設定させて、実現に向けた行動に移させることができるのか?」という質問をよく受けます。その際には決まって「ボトムアップで目標値設定をするのではなく、トップダウンで今まで通りのことをそのまま行っていては到底達成できない目標値を設定してください。」と回答しています。
なぜならトップダウンでストレッチのきいた目標値設定を最初に行うことにより、大きく2つの良いことが起こるからです。

【良いこと その1】現状の問題・課題を浮き彫りにできる

今まで表に出せなかった問題・課題を表に出して改善しなければ、経営層から要請された目標には到底届かないという状況を創出することで、各責任者から「実は今までは表に出せませんでしたが・・・」という話が表に出て、一気に改善が加速することがあります。
また、上述のように問題・課題を表面化させるためには「問題・課題を表に出すなら改善活動を大々的に行っている今のうちですよ!後で表に出したら許しませんよ!」というスタンスを同時に明確に伝えるという前提も必要となります。

今まで底に沈んでいて見えなかった問題・課題も浮かんで来さえすれば、周囲に認識される事ができ、すくうこともできます。

【良いこと その2】日常業務の枠を超えて検討しはじめる

ヒトはいつも通りのことをそのまま繰り返すことの方が、失敗するリスクが少なく楽なので、ついつい同じ事を繰り返しがちです。ところが経営環境は日々変化していて、いつまでも同じ業務をこなしているだけでは、会社としてどこかで行き詰まることになるのです。
ストレッチのきいた目標値をトップダウンで設定すると、管理責任者は日常業務を繰り返すだけでは目標を達成できないことが見えてきます。優秀な管理責任者であればすぐに、日常業務の枠を超えて、新しい何かを生むための検討を開始します。

「①改善すべきこと」と「②新しく検討すべきこと」を考えられる範囲ですべてテーブルの上に乗せて、どれを、いつまでに、だれが、どこまでのレベルで、どのようにして個々の対応をしていくのか明確化し、現実的な目標数値とそれを達成するための施策に落とし込んでくことになります。

以上の目標数値設定のためのフローをまとめると、
(1)ストレッチのきいた目標設定をトップダウンで設定する
(2)目標達成のためにするべきことを、日常業務の枠を超えて、徹底的に検討する
(3)現実的に達成可能でストレッチのきいた目標と施策に落とし込む
という流れになります。

この方法が必ずしも正解とは言えませんが、計画策定時によく問題となる、目標数値設定上の課題への対処法なので、いろいろな会社で汎用的に適用できる部分もあると考えられます。

実際の運用現場では、「こんな目標は達成不可能だ!」と何も検討することなく開き直ってしまう管理責任者も出てきたりします。
こういう管理責任者に限って目標設定シートを白紙で持ってきます。
無理だと思った瞬間、検討すらしなくなってしまうパターンです。
しかし、これも想定範囲内でしたので以下のような対応をしたこともあります。

昔、経営企画部長と地方を巡業して、各拠点での目標設定支援を実施したことがありました。
その際に、白紙の目標設定をした管理責任者に対して、「管理責任者としての自覚をもって、もっと真剣に考えろ!」と経営企画部長がキレて外に出て行きました。
これを受けて私は「他の拠点ではこんなことをやっていましたが、こちらでも同じことできませんか?・・」、
「本当に目標達成に向けてやれそうなことが何かないか一緒に考えませんか?企画部長には、現実的な落としどころを私からも説明しておきますので・・・」
とフォローをするようなパフォーマンスも交えて、目標設定の検討を促したこともありました。
実は、この打ち合わせ前に企画部長は「今日は私がキレるんでよろしくね!」「その後のフォローは、金澤さんよろしくお願いします!」などと笑顔で話ていたりしました。

「実際に検討を促させる(ヒトを動かす)」というのは、このように非常に泥臭い仕事を粘り強く行うことによりはじめて実現できるものなのです。